Human(ヒト関節ケア)

関節痛の予防

関節痛の予防に特効薬はありません。摂取する栄養、適切な運動などを積み重ねることが唯一の予防法です。ただし、そのやり方にはちょっとしたコツがあります。より効果的な予防法を知り、思い通りに活動できる暮らしを目指しましょう。

関節痛の予防

関節機能の衰えや運動機能の低下は、高齢になれば誰の身にも訪れます。しかし、訪れるタイミングや状態には、大きな個人差があるのも事実です。
そうした差は、1日で生まれたものではありません。多くは、毎日の生活習慣の違いが、長い年月の間に積み重なってできたものです。今からでも遅くはありません。「長く健康でいたい」「今の体の状態を少しでも改善したい」。そんな願いを叶えるためにも、関節痛予防を一緒に考えていきましょう。

予防には、一次予防、二次予防、三次予防があります

予防という言葉を聞くと、「病気を未然に防ぐこと」を想像する人も多いと思います。しかし、予防医学の世界には、一次予防、二次予防、三次予防という考え方があり、その中には、病気になった後の予防も含まれます。

まず、一般的にいわれる「病気を未然に防ぐこと」を一次予防といいます。これに対し二次予防というのは、「発生してしまった病気をできるだけ早く発見し、重症化を防ぐこと」です。そして、三次予防というのは、「病気が進行した後でも、機能を回復し、再発を防ぐこと」を指す言葉になります。

関節痛についても同じようなことが考えられます。「関節痛にならない(一次予防)」「関節痛を悪くしない(二次予防)」「関節痛を和らげ、再発を防ぐ(三次予防)」というすべての段階で、予防は大切になります。まだ関節痛が出ていない人はもちろん、すでに関節痛がある人にとっても、予防は大切なのです。

まずは運動機能の状態を把握しましょう

関節痛の予防は、まず「自分の運動機能の状態を正しく知る」ことから始まります。そもそも予防というのは、日々の積み重ねによって実現するものです。モチベーションを維持し、継続していくためには、自分の運動機能の状態に興味を持ち、どの程度機能が低下しているかを把握しておくことが大切なのです。

例えば、「最近、家の中でつまずくことがある」「階段を昇るときには手すりを頼ってしまう」「横断歩道を渡るとき、青信号で渡り切れない」などこれまでとは違う変化がみられる場合、運動機能の低下が心配されます。

関節痛の予防には、2つの柱があります

自分の運動機能の状態がある程度分かってきたら、その運動機能を維持し、高めるために、生活習慣の改善を行うことが必要になります。

関節痛を予防する上では、とくに2つの生活習慣を意識することが大切です。
1つは「関節に過度な負荷を与えないこと」。関節に過度な負担をかけると、関節軟骨の磨耗を早めたり、関節の組織を傷つけたりして、関節痛になるリスクを高めます。主に、以下のような点に注意が必要です。

肥満:体重が増えれば、その分、関節への負荷が大きくなります。
急激な運動、過剰な運動:急な激しい運動は関節に大きな負担をかけます。
O脚・X脚:O脚やX脚の人は、とくに膝の関節痛になりやすいです。
冷え:関節が冷えると、血液循環が悪くなり関節痛が起こりやすくなります。
姿勢の継続:同じ姿勢を長く続けていると、持続的に関節に負担がかかります。

2つ目は、「筋力強化」を図ることです。筋力は、運動機能をつかさどるだけでなく、私たちの関節を、体重や衝撃から守る役割を持っています。そのため、筋力強化は関節痛予防にも効果があります。

日常生活に手軽に取り入れられる筋力アップの運動法があります。膝の関節痛予防に効果がある代表的な運動法を紹介しますので、自分の体の状態に合わせて、無理のない範囲で行ってみてください。

大腿四頭筋(だいたいしとうきん)トレーニング
椅子に座った状態で、片脚をまっすぐ伸ばし、しばらくその状態をキープする運動です。左右30秒ずつ、3〜5セット行います。
内転筋(ないてんきん)トレーニング
床に座って膝を立て、両膝でまくらやクッションなどの柔らかいものを挟む運動です。1回30秒で、3〜5セット行います。
外転筋(がいてんきん)トレーニング
横向きに寝た状態で、片脚を真上に持ち上げる運動です。左右10回ずつ、3〜5セット行います。
片脚立ち
何かにつかまりながら、片脚を上げる運動です。左右それぞれ1分ずつ、1日数回行います。
スクワット
足を肩幅より少し広く開いて、そのままゆっくり体を沈める運動です。筋力に不安のある人は、椅子の立ち座りを繰り返してもよいでしょう。1度に5回〜6回、1日数回行います。
ヒールレイズ
両脚で立った状態で、かかとを上げる運動です。皿洗いなどをしながら日常的に行うとよいでしょう。
ストレッチ
筋力トレーニングに加え、ストレッチで筋肉や関節の柔軟性を高めることも大切です。

栄養摂取の見直しも大切です

関節痛の予防には、運動だけではなく栄養摂取も非常に大切です。健康な関節を維持していくには、関節軟骨や筋肉の素となる「タンパク質」とタンパク質の生成を促す「ビタミンC」や「ビタミンB6」、軟骨の主成分であるコラーゲンの生成に関わる「鉄」や「亜鉛」を摂取する必要があります。
その中でもとくに、関節軟骨の弾力性を生み出している「Ⅱ型コラーゲン」の摂取は関節痛予防にとって重要です (詳しくはコラーゲンのはたらき参照)。コラーゲンを多く含む食品については、コラーゲンの食品ランキングで紹介してありますので、参考にしてみてください。
コラーゲンは、1日5gから10g摂取するとがよいといわれていますが、この量をすべて食品で補うことは困難です。その場合には、コラーゲンを含むサプリメントを活用することが検討されます。
コラーゲンを含むサプリメントの中でも、非変性Ⅱ型コラーゲンUC-Ⅱ®は、「経口免疫寛容」という独自のメカニズムで、関節軟骨の破壊を防ぎ、修復・再生を促進する働きが期待できます。また、その過程では関節の炎症や痛みを和らげたという報告もあります。UC-Ⅱ®は、一次予防、二次予防、三次予防の全ての段階で、みなさんの関節痛予防を強力にサポートしてくれるサプリメント成分なのです。

それぞれの状態に合わせた予防を心がけましょう

関節痛の予防は、「負荷の軽減」、「運動」、「食事・サプリメント」を組み合わせ、それぞれの体の状態や生活環境に合わせて継続していくことが大切です。

それに加え、1つ注意していただきたい点があります。それは「病気の有無」です。心臓病や腎臓病など、日常生活に注意が必要な病気を持っている人が、自分の判断で負荷のかかる運動や食事内容の変更をするのはとても危険です。また、運動器の手術を受けた人や、変形性関節症・関節リウマチなどが進行している人にとっては、運動することでかえって状態が悪化することもあります。気になる症状がある人は、かかりつけ医と相談しながら、自分に合った関節痛予防を組み立てるようにしてください。

【記事監修】昭和大学 藤が丘病院 整形外科・准教授 高木 博 先生