Human(ヒト関節ケア)

関節痛の原因

関節が痛むのはなぜでしょうか? その鍵を握るのが「炎症反応」です。関節痛の二大原因である変形性関節症も関節リウマチも炎症によって痛みを引き起こします。つまり、炎症反応を抑えれば、痛みが和らぐと考えることができるのです。

関節痛の原因

関節痛は、私たちの日常生活によくある「痛み」と簡単に考える人もいますが、「健康な関節」を脅かす最大の要因でもあります。
一口に関節痛といっても、その原因は多種多様で、それぞれ対処法も異なります。関節痛の改善には、対症療法的に痛みを抑えるだけでなく、その原因に直接アプローチすることが不可欠です。
では、どのようなことが原因で関節痛は起こるのでしょうか? また、関節痛が起こるメカニズムはどのようなものでしょか? ここでは、関節痛の原因やそのメカニズムについて解説していきます。

関節痛でもっとも頻度が高いのは変形性膝関節症です

「立ち上がるとき膝に痛みが走る」「歩くと腰が痛くなる」「肩の鈍痛が続いている」など、関節痛は私たちの体のさまざまな関節に発生し、日常生活の足かせになっていきます。関節痛には、いくつかの原因がありますが、もっとも一般的なのが「変形性関節症」です。

変形性関節症とは、関節にある軟骨やその周囲の組織が何らかの理由ですり減り、骨と骨がぶつかり合うことで、関節が変形する病気のこと。加齢や肥満に伴って生じる一次性変形性関節症と、外傷や感染症などの病気によって引き起こされる二次性変形性関節症に分類されます。

変形性関節症は、足、肩、肘、指、手などあらゆる関節で起こりますが、その中でもとくに多いのが、膝の変形性関節症(変形性膝関節症)です。

変形性膝関節症はそのほとんどが一次性変形性関節症で、加齢や肥満によって生じます。40代から50代位に徐々に始まり、高齢になるにつれ発症率も増加します。日本における患者数は、自覚症状のない人を含めると約3,000万人とも想定され、男性よりも女性の患者さんが多い傾向があります。

変形性膝関節症が進行すると、膝に痛みや腫れが生じ、関節内に水が溜まること(関節水腫)もあります。そのメカニズムは次の通りです。
①加齢による筋力の衰えや関節軟骨の退行変性、過度な運動、肥満によって、膝の関節軟骨に過剰な負荷がかかる。
②膝関節軟骨が摩耗する。
③削れた軟骨によって、膝関節内に炎症が引き起こされる。
④炎症によって、膝に痛みや腫れ、関節水腫が発生し、さらに関節軟骨の破壊が進む。

一度変形してしまった膝関節は基本的には元に戻りませんし、炎症がある状態で動き続けると、さらに速いスピードで軟骨がすり減るという悪循環にも陥ります。そのため、できるだけ早期に発見し、膝軟骨の退行変性を防ぐことが重要になります。症状が軽い場合であれば、内服薬や湿布で痛みと炎症を軽減しながら、運動療法、温熱療法、減量などを組み合わせて、進行を抑えることが可能です。しかし、これらの方法で効果が出ない場合には、膝の関節を人工関節に置き換える「人工関節置換術」などの手術が必要になる場合もあります。

関節リウマチにも注意が必要です

関節痛の原因として、変形性膝関節症に次いで多いのが、「関節リウマチ」です。

関節リウマチとは、免疫系の異常によって滑膜の組織が異常増殖し、関節に炎症が起きる病気です。進行すると、激しい痛みや腫れ、こわばり、発熱、関節の変形などの症状を伴います。全国の患者数は70万人から80万人とも推定され、女性の罹患率が男性の4倍程高いといわれています。また、高齢になるほど増える変形性関節症とは異なり、30代から50代に発生する人が多いのです。

関節リウマチは、免疫の異常によって引き起こされると考えられていますが、なぜ免疫に異常が起こるのかなど、詳しいメカニズムは未だ解明されていません。ただし、病気が進行する仕組みは徐々に明らかになってきています。
①体内の免疫系が、何らかの原因で関節の滑膜を攻撃し、炎症を引き起こす。
②炎症の影響で、関節に腫れや痛みが生じる。
③炎症がひどくなると、軟骨や骨の破壊が進み、関節の変形や脱臼につながる。

原因不明の病気であるため、予防方法は確立されていませんが、早期に発見し、適切な治療すれば、関節の破壊を抑制し、症状をコントロールすることも可能になってきました。しかし、進行して関節の変形などがみられる場合は、手術が必要になることもあります。

そのほかにも関節痛にはいくつかの原因があります

そのほかにも、関節痛の原因になるものがあります。具体的には、加齢・肥満などによる関節炎(変形性関節症になる前)や過剰な運動による関節障害、痛風発作、細菌やウイルスが関節に入るなどして起きる感染性関節炎などです。

このように、関節痛の原因には、さまざまなものがありますが、多くに共通しているのは、「炎症を伴う」ということです。実は、「痛み」の発生には、この「炎症」が深くかかわっているのです。

関節痛は、主に「炎症性サイトカイン」の働きによって生じます

では、炎症があるとなぜ痛みが生じるのでしょうか。
まず、「痛み」について考えてみたいと思います。そもそも、「痛み」というのは、体に損傷や異常が起こったことを知らせる信号のことです。私たちはどうしても痛みを「嫌なもの」「抑えたいもの」と考えますが、危険から命や健康を守る上で、痛みを感じるということはとても重要なことです。こうした体を守るための痛みを、「侵害受容性疼痛(しんがいじゅようせいとうつう)」といいます。

次に、「炎症」についてですが、炎症というのは、損傷や異常から自らを守ろうとする体の防衛反応のことで、その反応の起きている場所は、赤く腫れたり、熱を持ったりします。そして、体内でこの炎症反応を引き起こしているのが「炎症性サイトカイン(IL-1やTNF-αなど)」という物質です。炎症性サイトカインは、体の損傷や異物に反応した免疫細胞などの細胞から分泌されるタンパク質で、免疫活動を活性化し、体を守る役割を担っています。同時に、この炎症性サイトカインは、体内の侵害受容器(痛みを伝える場所)に働きかけ、痛みを発生させます。

これは、関節痛の場合も同様で、炎症状態の関節には「炎症性サイトカイン」があり、その働きによって多くの痛みが生み出されているのです。

【記事監修】昭和大学 藤が丘病院 整形外科・准教授 高木 博 先生

UC-Ⅱ®には炎症性サイトカインを抑える働きがあります

UC-Ⅱの独自作用でもお話したように、非変性Ⅱ型コラーゲンUC-Ⅱ®は、体内で「経口免疫寛容」という独自の作用を起こし、その結果、関節内に炎症反応を抑制する物質である「抗炎症性サイトカイン」を発生させます。炎症や痛みをもたらす炎症性サイトカインをアクセルとすれば、抗炎症性サイトカインは、いわばブレーキの役割を果たしています。

この抗炎症性サイトカインの機能によって、関節内の炎症性サイトカインの働きが弱まり、痛みが緩和するのです。